2025年最低賃金決定のルール
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12月4日、「2025年最低賃金の決定に関する労働大臣令2024年第16号」(以下「労働大臣令2024年第16号」とします。)が公布され、同日付で施行されました。
この労働大臣令2024年第16号は、10月31日に言い渡された憲法裁判所判決の次のような判示を受けて、既存の最低賃金決定のルールを一部修正するために制定された法令と位置付けられます。
・ 最低賃金に関する労働法88C条は、「州知事は、セクター別最低賃金を州地域において決定する義務を負い、県/市のために決定することができ
ることを含む」と解釈しない限り違憲無効
・ 最低賃金の計算式の構成要素である「一定の指数」(労働法88D条2項)は、「会社及び就業者の利益並びに就業者の適正生活必需事項を充足す
るための比例性原則に留意した州又は県/市の経済成長に対する労働者の寄与を表す変数に当たる」と解釈しない限り違憲無効
すなわち、既存の最低賃金決定の具体的なルールは、「賃金に関する政令2021年第36号」(以下「政令2021年第36号」とします。)に規定されていますが、そのルールの一部は憲法裁判所の上記判示に適合していないため、そのまま最低賃金を決定した場合には事後に労働組合等から違憲との主張がなされ、混乱を生じる可能性が高いことから、その既存のルールを修正するためにこの労働大臣令2024年第16号を制定した、ということになります。
通常、政令所定のルールを一部修正する場合は、その政令自体を改正しますが、今回は、下位法令である労働大臣令により上位法令である政令のルールを実質的に修正するという異例の対応が採られています。今回は、憲法裁判所判決が言い渡された時点で2025年最低賃金の決定及び公告の期限まで1か月を切っており、とにかく迅速な対応が求められる中で、このような異例の対応を選択せざるを得なかったものと推察されます。
注意が必要なのは、この労働大臣令2024年第16号は、最低賃金決定のルールを定める法令であり、最低賃金自体を決定する法令ではないということです。最低賃金の正式な金額は、州知事裁決(Keputusan Gubernur)の形式により、州最低賃金及び州セクター別最低賃金については12月11日までに、県/市最低賃金及び県/市セクター別最低賃金については同月18日までにそれぞれ決定され、公告されることとなっていますので、今しばらくお待ちください。
以下では、この労働大臣令2024年第16号に規定されている2025年州最低賃金、県/市最低賃金、州セクター別最低賃金及び県/市セクター別最低賃金の決定方法に関する各ルールを簡潔にまとめた上で、次のようなポイントを解説いたします。
1. 2025年州最低賃金及び県/市最低賃金の上昇率である6.5%の算定式は?
2. 地方政府が自らの判断で6.5%を上回る上昇率を適用することは可能か?
3. セクター別最低賃金の対象セクターはどのようにして決定されるのか?
なお、労働大臣令2024年第16号、労働法、政令2021年第36号につきましては、いずれも和訳が完了していますので、「法令和訳」のページでご確認ください。また、コンサルテーションサービスの一環として、本稿の内容やインドネシアの最低賃金制度全般を口頭で解説させていただくことも可能ですので、ご希望の場合はお気軽にご連絡ください。
この労働大臣令2024年第16号は、10月31日に言い渡された憲法裁判所判決の次のような判示を受けて、既存の最低賃金決定のルールを一部修正するために制定された法令と位置付けられます。
・ 最低賃金に関する労働法88C条は、「州知事は、セクター別最低賃金を州地域において決定する義務を負い、県/市のために決定することができ
ることを含む」と解釈しない限り違憲無効
・ 最低賃金の計算式の構成要素である「一定の指数」(労働法88D条2項)は、「会社及び就業者の利益並びに就業者の適正生活必需事項を充足す
るための比例性原則に留意した州又は県/市の経済成長に対する労働者の寄与を表す変数に当たる」と解釈しない限り違憲無効
すなわち、既存の最低賃金決定の具体的なルールは、「賃金に関する政令2021年第36号」(以下「政令2021年第36号」とします。)に規定されていますが、そのルールの一部は憲法裁判所の上記判示に適合していないため、そのまま最低賃金を決定した場合には事後に労働組合等から違憲との主張がなされ、混乱を生じる可能性が高いことから、その既存のルールを修正するためにこの労働大臣令2024年第16号を制定した、ということになります。
通常、政令所定のルールを一部修正する場合は、その政令自体を改正しますが、今回は、下位法令である労働大臣令により上位法令である政令のルールを実質的に修正するという異例の対応が採られています。今回は、憲法裁判所判決が言い渡された時点で2025年最低賃金の決定及び公告の期限まで1か月を切っており、とにかく迅速な対応が求められる中で、このような異例の対応を選択せざるを得なかったものと推察されます。
注意が必要なのは、この労働大臣令2024年第16号は、最低賃金決定のルールを定める法令であり、最低賃金自体を決定する法令ではないということです。最低賃金の正式な金額は、州知事裁決(Keputusan Gubernur)の形式により、州最低賃金及び州セクター別最低賃金については12月11日までに、県/市最低賃金及び県/市セクター別最低賃金については同月18日までにそれぞれ決定され、公告されることとなっていますので、今しばらくお待ちください。
以下では、この労働大臣令2024年第16号に規定されている2025年州最低賃金、県/市最低賃金、州セクター別最低賃金及び県/市セクター別最低賃金の決定方法に関する各ルールを簡潔にまとめた上で、次のようなポイントを解説いたします。
1. 2025年州最低賃金及び県/市最低賃金の上昇率である6.5%の算定式は?
2. 地方政府が自らの判断で6.5%を上回る上昇率を適用することは可能か?
3. セクター別最低賃金の対象セクターはどのようにして決定されるのか?
なお、労働大臣令2024年第16号、労働法、政令2021年第36号につきましては、いずれも和訳が完了していますので、「法令和訳」のページでご確認ください。また、コンサルテーションサービスの一環として、本稿の内容やインドネシアの最低賃金制度全般を口頭で解説させていただくことも可能ですので、ご希望の場合はお気軽にご連絡ください。