特許実施表明を毎年作成して提出する制度の導入!? ‐インドネシアでの法律2024年第65号による特許法改正のポイントを一挙紹介
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10月28日、「特許に関する法律2016年第13号の3次改正に関する法律2024年第65号」(以下「法律2024年第65号」とします。)が公布され、同日付で施行されました。
この法律2024年第65号は、文字どおり、「特許に関する法律2016年第13号」(以下「特許法」とします。)の3度目の改正(一部改正)を行う法律となります。なお、過去の2度の改正とは、いわゆるオムニバス法 と法律代替政令2022年第2号 による改正をそれぞれ指しています。
今回の改正の理由/背景は、大枠で次の2点とされています(法律2024年第65号注解1)。
・ 法律2024年第65号による改正前の特許法は、もはや地域社会のニーズの展開及び法の展開に適合していない
・ WIPO及びWTOの加盟国として、特許法をTRIPS協定中の規定のスタンダードに適合させる必要がある
本稿では、今回の改正による特許法の変更点のうち、次の各変更点を解説することといたします。今回の改正は変更点が盛り沢山となっていますので、関心のあるものを選んでお読みいただけますと幸いです。
・ 「発明」の定義規定の変更
・ 伝統的知識及び遺伝資源の定義規定の新設&伝統的知識及び遺伝資源に関わる発明の特許出願に関する規律の整備
・ 「発明に該当しないもの」の構成要素の変更(例‐コンピュータプログラム(ただし、コンピュータ実装発明を除く)は発明に当たらない)
・ 発明の新規性喪失の例外期間(いわゆるグレースピリオド)をより長期に変更
・ 特許権者が特許実施表明を作成して毎年末までに提出する制度の導入
・ 10を超える請求項による特許出願に追加費用を課すことを明記
・ 出願提出後の出願データの変更に対して費用を課すことを明記
・ パリ条約による優先権の主張を伴う出願の提出可能期間をより長期に変更
・ 明細書の翻訳義務を、その使用言語が英語以外の外国語と英語の場合に分けて規律
・ 特許出願文書等の不備を補完する期間に関する規律の変更
・ みなし取下げとされた特許出願の再度の出願に関する規律を明記
・ 出願人が自ら取り下げた特許出願の再度の出願に関する規律を明記
・ 早期出願公開制度をより早期の出願公開を可能とする内容に変更
・ 特許出願の実体審査に早期審査制度を導入
・ 特許出願の実体審査に再審査制度を導入
・ 他者発明との利用関係を理由とする強制ライセンスの付与要件をTRIPS協定に従い追加
・ 「政府による特許の実施」の要件の変更
・ 医薬品に関する特許を疾病の治療を目的として実施するための手法を「強制ライセンス」から「政府による特許の実施」に変更
・ 特許権者が支払義務を負う年金に関する規律の変更
・ 医薬品をその特許の保護期間終了後の販売の準備として生産することのできる場合の拡張及びその期間制限の撤廃
これらの変更点のうち、既にインドネシアで特許を保有している場合に対応が必要となる可能性のある変更点として、「特許権者が特許実施表明を作成して毎年末までに提出する制度の導入」が挙げられます。この制度につきましては、その根拠条文である特許法20A条において、特許実施表明の作成及び提出が義務であることを明確にする単語(wajibやharus等)が使用されておらず、その不提出に対する直接の罰則規定もないようですので、対応の要否も含めた検討/調査が必要といえます。
また、筆者は、法令の和訳を行う際、条文毎に変更点を記録する作業を行っているため、本稿で解説するもの以外の変更点に関する情報をご提供することも可能ですので、ご希望の会員様はお気軽にご連絡ください。
なお、特許法及び法律2024年第65号につきましては、いずれも和訳が完了していますので、「法令和訳」のページでご確認ください。また、コンサルテーションサービスの一環として、本稿の内容や特許に関する法制度全般を口頭で解説させていただくことも可能ですので、ご希望の場合はお気軽にご連絡ください。
この法律2024年第65号は、文字どおり、「特許に関する法律2016年第13号」(以下「特許法」とします。)の3度目の改正(一部改正)を行う法律となります。なお、過去の2度の改正とは、いわゆるオムニバス法 と法律代替政令2022年第2号 による改正をそれぞれ指しています。
今回の改正の理由/背景は、大枠で次の2点とされています(法律2024年第65号注解1)。
・ 法律2024年第65号による改正前の特許法は、もはや地域社会のニーズの展開及び法の展開に適合していない
・ WIPO及びWTOの加盟国として、特許法をTRIPS協定中の規定のスタンダードに適合させる必要がある
本稿では、今回の改正による特許法の変更点のうち、次の各変更点を解説することといたします。今回の改正は変更点が盛り沢山となっていますので、関心のあるものを選んでお読みいただけますと幸いです。
・ 「発明」の定義規定の変更
・ 伝統的知識及び遺伝資源の定義規定の新設&伝統的知識及び遺伝資源に関わる発明の特許出願に関する規律の整備
・ 「発明に該当しないもの」の構成要素の変更(例‐コンピュータプログラム(ただし、コンピュータ実装発明を除く)は発明に当たらない)
・ 発明の新規性喪失の例外期間(いわゆるグレースピリオド)をより長期に変更
・ 特許権者が特許実施表明を作成して毎年末までに提出する制度の導入
・ 10を超える請求項による特許出願に追加費用を課すことを明記
・ 出願提出後の出願データの変更に対して費用を課すことを明記
・ パリ条約による優先権の主張を伴う出願の提出可能期間をより長期に変更
・ 明細書の翻訳義務を、その使用言語が英語以外の外国語と英語の場合に分けて規律
・ 特許出願文書等の不備を補完する期間に関する規律の変更
・ みなし取下げとされた特許出願の再度の出願に関する規律を明記
・ 出願人が自ら取り下げた特許出願の再度の出願に関する規律を明記
・ 早期出願公開制度をより早期の出願公開を可能とする内容に変更
・ 特許出願の実体審査に早期審査制度を導入
・ 特許出願の実体審査に再審査制度を導入
・ 他者発明との利用関係を理由とする強制ライセンスの付与要件をTRIPS協定に従い追加
・ 「政府による特許の実施」の要件の変更
・ 医薬品に関する特許を疾病の治療を目的として実施するための手法を「強制ライセンス」から「政府による特許の実施」に変更
・ 特許権者が支払義務を負う年金に関する規律の変更
・ 医薬品をその特許の保護期間終了後の販売の準備として生産することのできる場合の拡張及びその期間制限の撤廃
これらの変更点のうち、既にインドネシアで特許を保有している場合に対応が必要となる可能性のある変更点として、「特許権者が特許実施表明を作成して毎年末までに提出する制度の導入」が挙げられます。この制度につきましては、その根拠条文である特許法20A条において、特許実施表明の作成及び提出が義務であることを明確にする単語(wajibやharus等)が使用されておらず、その不提出に対する直接の罰則規定もないようですので、対応の要否も含めた検討/調査が必要といえます。
また、筆者は、法令の和訳を行う際、条文毎に変更点を記録する作業を行っているため、本稿で解説するもの以外の変更点に関する情報をご提供することも可能ですので、ご希望の会員様はお気軽にご連絡ください。
なお、特許法及び法律2024年第65号につきましては、いずれも和訳が完了していますので、「法令和訳」のページでご確認ください。また、コンサルテーションサービスの一環として、本稿の内容や特許に関する法制度全般を口頭で解説させていただくことも可能ですので、ご希望の場合はお気軽にご連絡ください。