「ハラル製品保証分野の運営に関する政令2024年第42号」による改正のポイント
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インドネシア領に入る、同領で流通する、同領で商取引を行う製品は、原則としてハラル証明書の具備が義務付けられますが、このハラル証明書具備義務は、全ての製品に一斉に適用した場合の事業者の負担や実務の混乱を考慮して、製品をいくつかのグループに分け、そのグループ毎に段階的に適用する方針が採用されています。
そのハラル証明書具備義務の段階的な適用のスケジュールを最初に規律した法令が「ハラル製品保証分野の運営に関する政令2021年第39号」(以下「旧法」とします。)であり、その140条によりますと、ハラル証明書具備義務の段階的な適用の第一段階として、飲食物製品等に対するハラル証明書具備義務の適用の準備期間が本年10月17日をもって終了し、翌18日より、事業者は、その義務を履行しなければならないとされていました。
しかしながら、同義務の第一段階の適用期限が迫る中で、零細小規模事業者による同義務への対応が遅れていることや、ハラル製品保証運営庁(以下「BPJPH」とします。)と国外ハラル機関との間でのハラル証明書相互承認連携の構築が十分とはいえないことが指摘されるようになり、零細小規模事業者については、本年5月、政府より、ハラル証明書具備義務の適用を2026年10月まで延期する方針が示されていました。
そのような状況において、去る10月17日、旧法を全面改正する法令として、「ハラル製品保証分野の運営に関する政令2024年第42号」(以下「新法」とします。)が公布され、同日付で施行され、その新法の施行に伴い、旧法は廃止されました。したがいまして、今後、ハラル証明書具備義務の段階的な適用のスケジュールを規律する法令は、新法ということになります。
この新法は、旧法による規律の枠組みはそのまま維持しつつ、次のような視点で必要な変更を加えている法令といえます。
・ 旧法は、いわゆるオムニバス法 による法律2014年第33号(以下「ハラル製品保証法」とします。) の改正を反映する形で作成されたものであるが、そのオムニバス法に取って代わる法律代替政令2022年第2号 によりハラル製品保証法が更に改正された影響で、上位法であるハラル製品保証法と下位法である旧法の間に齟齬が存在する状況となっており、その齟齬を解消するために、旧法を改正する必要がある
・ 旧法では、ハラル証明書を取得済みの事業者の義務に関する規律が十分に規定されていないが、今後は、ハラル証明書具備義務の適用が開始され、ハラル証明書を取得した事業者に対する規制が重要となることを踏まえて、ハラル証明書を取得済みの事業者の義務に関する規律を充実させる必要がある
・ 前述の状況を踏まえると、零細小規模事業者及び国外製品については、ハラル証明書具備義務の第一段階の適用期限を延期する必要性が高い
・ 零細小規模事業者によるハラル証明書具備義務への対応が遅れていることを踏まえて、零細小規模事業者による同義務の履行を促進する施策が必要とされている
本稿では、新法による以上のような視点での変更点のうち、日系企業の事業との関係性等を考慮して、次の各変更点を解説することといたします。
・ ハラル証明書を取得済みの事業者が負担する義務の明確化
・ ハラル性維持義務の履行を製品ハラル性不変証明書により証明する制度の新規導入
・ ハラル管理者に国外出身者が就任する場合の提出書類の明確化
・ 屠畜がハラル屠畜官により行われなければならないことの明記
・ ハラル証明書の有効期間の変更
・ ハラル証明書の更新が必要となる場合及びその手順の明記
・ ハラルラベルの表示方法に関する規律が例外的に適用されない製品の追加
・ 非ハラルであることの説明の表示形式に関する規律内容の変更
・ 国外製品のハラル認証申請の申請者、申請を要する場合、申請手順等の明確化
・ 国外ハラル証明書登録申請を提出する際の添付書類に関する規律の変更
・ 国外ハラル証明書登録の延長申請の提出期限の変更
・ 飲食物製品等のためのハラル証明書具備義務の第一段階の適用期限の延期
・ 「薬剤」を構成する要素の変更
・ 事業者による違反が行政罰の対象とされている義務の調整
また、筆者は、法令の和訳を行う際、条文毎に変更点を記録する作業を行っているため、本稿で解説するもの以外の変更点に関する情報(例‐零細小規模事業者に関係する規律やハラル認証を行う行政機関に関する規律の変更点)をご提供することも可能ですので、ご希望の会員様はお気軽にご連絡ください。
なお、ハラル製品保証法、旧法、新法につきましては、いずれも和訳が完了していますので、「法令和訳」のページでご確認ください。また、コンサルテーションサービスの一環として、本コラムの内容やハラルに関する法制度全般を口頭で解説させていただくことも可能ですので、ご希望の場合はお気軽にご連絡ください。
そのハラル証明書具備義務の段階的な適用のスケジュールを最初に規律した法令が「ハラル製品保証分野の運営に関する政令2021年第39号」(以下「旧法」とします。)であり、その140条によりますと、ハラル証明書具備義務の段階的な適用の第一段階として、飲食物製品等に対するハラル証明書具備義務の適用の準備期間が本年10月17日をもって終了し、翌18日より、事業者は、その義務を履行しなければならないとされていました。
しかしながら、同義務の第一段階の適用期限が迫る中で、零細小規模事業者による同義務への対応が遅れていることや、ハラル製品保証運営庁(以下「BPJPH」とします。)と国外ハラル機関との間でのハラル証明書相互承認連携の構築が十分とはいえないことが指摘されるようになり、零細小規模事業者については、本年5月、政府より、ハラル証明書具備義務の適用を2026年10月まで延期する方針が示されていました。
そのような状況において、去る10月17日、旧法を全面改正する法令として、「ハラル製品保証分野の運営に関する政令2024年第42号」(以下「新法」とします。)が公布され、同日付で施行され、その新法の施行に伴い、旧法は廃止されました。したがいまして、今後、ハラル証明書具備義務の段階的な適用のスケジュールを規律する法令は、新法ということになります。
この新法は、旧法による規律の枠組みはそのまま維持しつつ、次のような視点で必要な変更を加えている法令といえます。
・ 旧法は、いわゆるオムニバス法 による法律2014年第33号(以下「ハラル製品保証法」とします。) の改正を反映する形で作成されたものであるが、そのオムニバス法に取って代わる法律代替政令2022年第2号 によりハラル製品保証法が更に改正された影響で、上位法であるハラル製品保証法と下位法である旧法の間に齟齬が存在する状況となっており、その齟齬を解消するために、旧法を改正する必要がある
・ 旧法では、ハラル証明書を取得済みの事業者の義務に関する規律が十分に規定されていないが、今後は、ハラル証明書具備義務の適用が開始され、ハラル証明書を取得した事業者に対する規制が重要となることを踏まえて、ハラル証明書を取得済みの事業者の義務に関する規律を充実させる必要がある
・ 前述の状況を踏まえると、零細小規模事業者及び国外製品については、ハラル証明書具備義務の第一段階の適用期限を延期する必要性が高い
・ 零細小規模事業者によるハラル証明書具備義務への対応が遅れていることを踏まえて、零細小規模事業者による同義務の履行を促進する施策が必要とされている
本稿では、新法による以上のような視点での変更点のうち、日系企業の事業との関係性等を考慮して、次の各変更点を解説することといたします。
・ ハラル証明書を取得済みの事業者が負担する義務の明確化
・ ハラル性維持義務の履行を製品ハラル性不変証明書により証明する制度の新規導入
・ ハラル管理者に国外出身者が就任する場合の提出書類の明確化
・ 屠畜がハラル屠畜官により行われなければならないことの明記
・ ハラル証明書の有効期間の変更
・ ハラル証明書の更新が必要となる場合及びその手順の明記
・ ハラルラベルの表示方法に関する規律が例外的に適用されない製品の追加
・ 非ハラルであることの説明の表示形式に関する規律内容の変更
・ 国外製品のハラル認証申請の申請者、申請を要する場合、申請手順等の明確化
・ 国外ハラル証明書登録申請を提出する際の添付書類に関する規律の変更
・ 国外ハラル証明書登録の延長申請の提出期限の変更
・ 飲食物製品等のためのハラル証明書具備義務の第一段階の適用期限の延期
・ 「薬剤」を構成する要素の変更
・ 事業者による違反が行政罰の対象とされている義務の調整
また、筆者は、法令の和訳を行う際、条文毎に変更点を記録する作業を行っているため、本稿で解説するもの以外の変更点に関する情報(例‐零細小規模事業者に関係する規律やハラル認証を行う行政機関に関する規律の変更点)をご提供することも可能ですので、ご希望の会員様はお気軽にご連絡ください。
なお、ハラル製品保証法、旧法、新法につきましては、いずれも和訳が完了していますので、「法令和訳」のページでご確認ください。また、コンサルテーションサービスの一環として、本コラムの内容やハラルに関する法制度全般を口頭で解説させていただくことも可能ですので、ご希望の場合はお気軽にご連絡ください。