法令和訳の信頼性

法令和訳の信頼性を確保するための取組み

本サービスでは、提供する情報の信頼性を確保する手段の柱として、信頼できるインドネシア法令の和訳を作成し、それを情報の真偽や妥当性を評価するための「物差し」として活用する方針を採用しています。そこで、信頼できるインドネシア法令の和訳を作成するために、複数名によるチェック体制に加えて、次の様な取組みを行っています。

インドネシア語を基礎から学び、インドネシア法の知見 / 経験を有しており、日本法の知見 / 経験を有している者が翻訳を行う

インドネシア法令の和訳は、インドネシア語で書かれたインドネシアの法律に関する文書を日本語に変換する作業であるため、インドネシア語の素養、インドネシア法の知見/経験、日本法の知見/経験、及び日本語の素養を有する者において行うのが最善といえます。

本サイトで提供する和訳は、インドネシア大学でインドネシア語を学んだジャカルタの法律事務所での駐在経験のある日本人弁護士が中心となって翻訳を行っており、その要件を充たしています。

統一和訳基準に基づき翻訳を行う

法令の和訳で用いる用語と表現の統一性を確保し、和訳の相互比較/相互参照を可能とするためには、全ての法令に適用される統一された和訳の基準が不可欠と考えます。

そこで、そのような基準を作成するために、日系企業の事業と関わりの深い分野から数百のインドネシア法令を選び、同一の法令の和訳を少なくとも3度、毎回着目する視点を変えて行い、それと平行して疑義のある点や不明確な点があればその都度調査/検討を行いその結果を記録する作業を繰り返し行うことで、統一和訳基準を作成しました(A4サイズで600頁超。サンプルはこちらをご参照下さい。)。この統一和訳基準は、今後も新たな法令の和訳を行う度にアップデートを行う予定です。

仮にこの統一和訳基準が存在しない場合は、新たな法令の和訳を行う度に他の法令との平仄を合わせる必要から多くの用語の確認を行わなければならず、情報をタイムリーに提供することが困難となります。そのため、この統一和訳基準は、新規法令や改正法に関するタイムリーな情報を提供するためにも必要なものといえます。

逐条管理シートによる法令情報の一元的管理

本サイトで提供する全ての法令和訳では、条文毎にその概要、関連情報、施行規則、改正の有無を記録した逐条管理シートを作成しています。

この逐条管理シートがあることで、法令の情報を体系的で間違いのない形に整理することができ、法令和訳の信頼性を確保することが可能となります。また、この逐条管理シートは、ユーザーの問い合わせを受けて提供する情報を短時間で網羅的に選択する上でも有用です。

法令和訳の正確性について

上記取組みの下で和訳を行ったとしても、法令全体の和訳を確定させることができるとは限りません。

例えば「大きなかばんと靴」という文章があった場合、大きいのがかばんのみなのかそれともかばんと靴の両方なのかを文章のみから確定することができないように、接続関係や修飾関係が曖昧な文章は、その文章のみから和訳を確定させることができません。

インドネシアの法令にも、意図的かどうかは分かりませんが、このような接続関係や修飾関係が曖昧な文章がしばしば登場します。文章が曖昧なのであれば、その曖昧さを残したまま和訳すれば良いと思うかもしれませんが、日本語とインドネシア語では文章構造が異なるため、曖昧さを残したまま和訳することが難しいケースが少なくありません。

この種の問題は、経験上、ネイティブの回答が正解とは限りませんので、他の法令や書籍等の客観的な文書資料を参照して和訳を確定させる作業を行いますが、その作業を経たとしても、和訳を確定させられない部分が残る場合があります。

その場合、その法令の和訳全体を非公表とする選択肢もありますが、和訳を確定させられない部分は法令全体のごく一部である上に、経験上、その曖昧な部分が条文全体の実質的な意味に重要な影響を及ぼすケースは稀であるため、和訳全体を非公表とする判断は、却って日系企業の利益に反するように思います。

そこで、法文に和訳を確定させられない曖昧な部分が存在する場合であっても、基本的に、その時点での調査の結果として最善と考えられる和訳を充てて公表し、事後にその曖昧な部分が明確となった時点で速やかにアップデートを行う方針を採用しています。

以上より、本サイトで提供する法令の和訳は、上記の取組みの下で行った信頼性の高いものではありますが、完全に正確なものと言い切ることはできません。したがいまして、それを前提に、必要に応じてインドネシアの行政当局や弁護士等への確認を行って頂きたく存じます。

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