コラム

[資金洗浄④] 顧客管理(カスタマー・デュー・ディリジェンス)‐総論

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資金洗浄/テロ資金供与

前回は、特定事業者が取引時確認義務を負う場合について解説しましたが、その中で、取引時確認義務は、「サービス利用者確認原則(Prinsip Mengenali Pengguna Jasa)」を構成する義務の1つであることを説明しました。すなわち、裏を返せば、取引時確認義務は、同原則を構成する義務の1つにすぎず、この取引時確認義務のみを履行したとしても、同原則の適用を完全に実行したことにはなりません。

では、このサービス利用者確認原則とは何でしょうか?実は、このサービス利用者確認原則とは、金融活動作業部会(Financial Action Task Force (FATF))の「40の勧告」の10に規定されている「顧客管理(Customer Due Diligence (CDD))」実行義務を、同勧告10及び22に基づきインドネシア法に落とし込んだものにほかなりません。同勧告がマネーロンダリング/テロ資金供与犯罪対策に関する世界的なスタンダードであることを踏まえると、その内容を把握しておく必要性が高いことは論をまちません。そこで、このサービス利用者確認原則を次のトピックとして取り上げ、解説することといたしました(なお、取引時確認義務の具体的な内容につきましても、同原則を構成する義務の1つであることから、このトピックの中で解説いたします。)。

本稿では、まず、同トピックの総論的な位置付けとして、次のような事項を、同勧告の内容を適宜参照しつつ解説しましたのでご確認ください。

・ CDDとは何か?
・ サービス利用者確認原則がCDD を指していると解釈する根拠
・ 特定事業者の種類毎のCDD関係法令一覧
・ 金融機関に適用される法令とその他の特定事業者に適用される法令とでは規制の枠組みや使用する用語が異なっていること及びその理由


なお、本稿は、以下の法令とその他の文献を参照し、必要に応じてインドネシア人弁護士への確認を行い作成していますが、これらの参照法令につきましては、同一の基準に基づき作成した和訳のアップロードが全て完了していますので、「法令和訳」のページでご確認ください。また、注解が存在する法令については注解の和訳も完了していますので、ご入用でしたらお気軽にご連絡ください。


「マネーロンダリング犯罪の防止及び撲滅に関する法律2010年第8号」
「マネーロンダリング犯罪の防止及び撲滅における届出人に関する政令2015年第43号の改正に関する政令2021年第61号」
「政府機関及び/又は民間機関によるマネーロンダリング犯罪の防止及び撲滅におけるデータ及び情報の提出手順に関する政令2016年第2号」
「マネーロンダリング犯罪の防止及び撲滅における届出人に関する政令2015年第43号」
「マネーロンダリング犯罪及びテロ資金供与犯罪の防止及び撲滅の枠組みでの企業の実質的所有者確認原則の適用に関する大統領令2018年第13号」
「金融サービスセクターでのアンチマネーロンダリング、テロ資金供与防止及び大量破壊兵器拡散に関する資金供与防止プログラムの適用に関する金融サービス庁令2023年第8号」
「金融役務提供業者のGOAMLアプリケーションを通じた疑わしい金銭取引、現金金銭取引並びに国外からの及び国外への資金移動金銭取引の届出の提出手順に関する金銭取引届出分析センター令2021年第1号」
「他の物品及び/又は役務の提供業者のGOAMLアプリケーションを通じた取引の届出及び疑わしい金銭取引の届出の提出手順に関する金銭取引届出分析センター令2021年第2号」
「職業専門家のGOAMLアプリケーションを通じた疑わしい金銭取引の届出の提出手順に関する金銭取引届出分析センター令2021年第3号」
「他の物品及び/又は役務の提供業者のサービス利用者確認原則の適用に関する金銭取引届出分析センター令2017年第7号」
「マネーロンダリング犯罪を行うポテンシャルのあるサービス利用者のカテゴリに関する金銭取引届出分析センター長官令第PER-02/1.02/PPATK/02/2015号」
「金融役務提供業者の疑わしい金銭取引の識別に関する金銭取引届出分析センター長官令第PER-11/1.02/PPATK/06/2013号の改正に関する金銭取引届出分析センター長官令第PER-04/1.02/PPATK/03/2014号」
「金融役務提供業者の現金金銭取引の識別に関する金銭取引届出分析センター長官令第PER-21/1.02/PPATK/11/2013号」
「金融役務提供業者の国外からの及び国外への資金移動金銭取引の届出の提出手順に関する金銭取引届出分析センター長官令第PER-12/1.02/PPATK/06/2013号」
「金融役務提供業者の疑わしい金銭取引の識別に関する金銭取引届出分析センター長官令第PER-11/1.02/PPATK/06/2013号」
「届出義務の適用例外とされる現金金銭取引に関する金銭取引届出分析センター長官令第PER-11/1.02/PPATK/09/2012号」
「金融サービス提供業者の疑わしい金銭取引の届出及び現金金銭取引の届出の提出手順に関する金銭取引届出分析センター長官令第PER-09/1.02.2/PPATK/09/12号」
「他の物品/役務の提供業者の取引の届出の手順に関する金銭取引届出分析センター長官令第PER-12/1.02.1/PPATK/09/11号」

※本コラムにつきご不明な点がある場合や口頭での説明をご希望の場合は「コンサルテーション」として対応させていただきますので、お気軽にご連絡いただけますと幸いです。

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